細菌性膣炎になっても、積極的な治療をしないで放置しておくと、病原菌の繁殖が上方へ及んでいき子宮内膜炎、卵管炎、骨髄腹膜炎を起こす可能性があるといわれています。
また、妊娠中の女性にとって重要なのは、早産になる可能性が高まることです。
今回は、妊婦さんが細菌性膣炎になるとどうして危険なのか、細菌性膣炎にならないための予防方法をご紹介します。
妊婦さんに増えている細菌性膣炎
ある調査によると妊婦さんの細菌性膣炎が増えているということです。
妊婦さんの細菌性膣炎の頻度の傾向をみていくと、
・1990年:約10%
・1995年:約15%
・2000年:約20%
と増加傾向になっています。
また、2008~2010年に厚生労働の研究で行った全国調査では、27.9%となっており、やはり頻度に増加が認められるということです。
妊婦さんになぜ、細菌性膣炎が増えているのかの原因はまだ十分に解明されていませんが、男女関係の変化や洗浄付トイレの普及などを挙げる方もいます。
妊娠中に細菌性膣炎になるとどうして早産になりやすいの?
妊娠中に胎内で赤ちゃんが大きくなっている段階で細菌性膣炎にかかっていると、子宮内感染により感染が赤ちゃんに及ぶ場合があります。
細菌性膣炎の原因となっている細菌の増殖が、子宮頸管にまで及ぶと子宮頸管炎になる場合があります。
細菌の増殖が進み、さらに赤ちゃんを包んでいる卵膜である絨毛膜羊膜(じゅうもうまくようまく)に及ぶと絨毛膜羊膜炎になる可能性があります。
絨毛膜羊膜炎になると早産のリスクが高まりますが、早産にならない場合も細菌は羊水への進行し、ついには赤ちゃんへと感染するリスクがあります。
絨毛膜羊膜炎により子宮内炎症がひどくなると、陣痛を引き起こす物質が産生されるため、子宮を収縮させ早産になる可能性があるといわれています。
早産の原因で最も多いのが細菌性膣炎による絨毛膜羊膜炎といわれていますので、妊娠中は早い段階で気が付いて治すことが大切になります。
また、妊娠初期には細菌性膣炎の症状であるおりものの増加や悪臭などに注意し、これらの症状がみられたら早目に産婦人科を受診することをおすすめします。
細菌性膣炎の治し方と予防方法
細菌性膣炎を治す方法としては、次のようなものがあります。
1.細菌性膣炎の原因となっている細菌を除去する
産婦人科での治療の基本は、原因となっている細菌を殺菌することです。
そのため、一般的にはメトロニダゾール膣錠が処方されます。
商品名では、フラジール膣錠と呼ばれています。
この膣錠を使用すると、1週間位で症状が改善されます。
2.膣本来の自浄作用を回復させる
細菌性膣炎では膣の自浄作用を担っているデーデルライン桿が少ない状態になっています。
このため、乳酸や乳酸菌が分解するグリコーゲンを補給して 膣本来の自浄作用の回復をサポートする方法があります。
細菌性膣炎対策ジェルと呼ばれるものは、この方法にあたります。
商品名では、「インクリア」、「ギノフィット」、 「リラクタルジェル」などがあります。
3.女性専用の乳酸菌サプリを摂る
膣の自浄作用を担っているのはデーデルライン桿菌と呼ばれるラクトバチルス属の乳酸菌です。
細菌性膣炎ではデーデルライン桿菌が減少している状態なので、デーデルライン桿菌を含んだサプリにより補おうとする方法です。
具体的には、デーデルライン桿菌であるアシドフィルス菌、ロイテリ菌、ラムノーサス菌、プランタラム菌などが配合されています。
商品名では、「ラクトフローラ」、「フェミプロバイオ」などがあります。
なお、「ラクトフローラ」は局部療法に使用する膣錠もあります。
4.乳酸菌サプリを積極的に摂る
膣の中を酸性して自浄作用を行っているのは、膣内にいるデーデルライン桿菌という乳酸菌です。
デーデルライン桿菌が含まれている乳酸菌サプリを摂って、デーデルライン桿菌が増えるのをサポートしようとする方法です。
女性専用乳酸菌サプリは、高額なのでその代替を期待する方法です。
デーデルライン桿菌の一つであるアシドフィルス菌が含まれた乳酸菌サプリには、「乳酸菌革命」、「ビフィーナS」、「活き活き乳酸菌」などがあります。
これは、乳酸菌サプリを利用する方法ですが、1回で摂れる乳酸菌の量は少なくなりますが、ヨーグルトを利用する方法もあります。
以上、細菌性膣炎を治す方法をご説明しましたが、2~4の項目は治す方法でもあり、予防方法にもなります。
1の方法によって、治ったと思ってもデーデルライン桿菌が回復して自浄作用が上手く働かないと、直ぐに再発します。
再発を防ぐためには、日頃の予防が大切です。